評価:★★★★★
公式サイト:
http://sawmovie.jp/
巷では続編の『SAW2』がレンタルされ始めているというのに、前作の『SAW』がいっつも貸し出し中で歯がゆい思いをしていたが、ようやく借りることができたので感想とか。
やられた!
見終わった最初に出た言葉それだった。物語は残酷で救いがないというのに、清清しいほどに完敗。
気が付くとそこは老朽化した建物。足元には足枷とぶっとい鎖がパイプに繋がれている。中央は血の海。その真ん中には、拳銃自殺を図ったのだろうか、男が一人。死体を挟んだ対角線上には自分と同じような境遇の男がまた一人。助かりたければ相手を殺せ、と…。そしてゲームが始まる。
とまぁ、そんな舞台設定で始まるのだけれども、最初はかなり昔に流行った『ブレアウイッチプロジェクト』風の、やたら大金を次ぎ込む大作志向なハリウッド映画をあざ笑うかのような低予算ホラー映画だと思っていた(とか言いながら面白くないという噂を聞いて見ていないので想像だけで語っているけど)。
実際、大作の映画と比べると明らかに金を使っていないと思うのだけど、それは、この作品がSAWである(洒落ではない)為に必要な額が少なかっただけだと思う。1時間40分と収録時間はやや長かったものの全く無駄が無かった。とにかく舞台設定の演出と脚本の妙、そして俳優たちの迫真の演技が素晴らしかった。
俺の中に『バトルロワイヤル』以降というべきようなものがあって、それを境に理由もなく理不尽な設定の中で、ただただ理不尽な展開が垂れ流しされて結局の所何?という作品が多く作られるようになったと感じる。この映画の始まりはまさにその典型であり、終盤に近づくにつれて、鬼気迫るサバイバル劇は面白いのだけど、最後には理不尽さだけが残り、結局は説得力など欠片もなく終るのだろうと思っていた。途中が面白いだけに裏切られるのだ、と。
ところが
最後まで観終わったときに、実は最高の論理ホラーサスペンス映画だったことに気づいたときの衝撃と言ったらなかった。物語中に散りばめられたジグソウがラスト数分で一気に組みあがり、完膚なきまでに裏切られる最後の瞬間!こんな裏切りなら大歓迎。さすがこんな残酷な映画を作るだけあって嫌悪と快感の境目をよく理解していると感心させられた。